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相続税の税務調査の対象になりやすいケースと対策
調査率・指摘事項・当日の対応を徹底解説

相続税の税務調査は申告件数の約10%に実施され、調査が入ると約80%で追徴課税が発生します。ただし「正しく申告している」「書類をきちんと保管している」ことが最大の対策です。調査の実態と事前準備を把握しておきましょう。

相続税の税務調査 実態データ(国税庁 令和5年度)
約10%
申告件数に対する
実地調査の割合
約80%
調査が入った場合の
追徴課税発生率
平均2〜3年後
申告期限から調査通知まで
の平均的な期間
税務調査は無作為ではなく、税務署が保有する情報(不動産登記・金融機関情報・CRS情報など)をもとに「申告内容に疑問がある案件」を選んで実施します。申告後2〜3年以内に通知が来ることが多く、申告期限から5年(悪質な場合は7年)が調査の時効です。
あなたのケースの調査リスクを確認する
当てはまる項目にチェックを入れてください
申告した財産の総額と被相続人の生前収入・資産規模に大きな差がある高リスク
子・孫名義の預金口座があり、実際には被相続人が管理していた(名義預金)高リスク
相続開始前3〜7年以内に多額の生前贈与・大きな出金があった高リスク
不動産が多数あり評価が複雑(貸地・貸家・共有持分など)中リスク
被相続人が事業者・会社経営者で非上場株式がある中リスク
申告書を税理士なしで自分で作成した中リスク
海外資産・外貨預金・海外送金の履歴がある中リスク
配偶者控除・小規模宅地特例を適用してギリギリ税額ゼロになっている中リスク
項目にチェックを入れると調査リスクを判定します

税務署が特に注目する6つのポイント
最多指摘①
名義預金の申告漏れ
子・孫・配偶者名義の口座でも、被相続人が実質管理していた場合は相続財産です。通帳・印鑑の管理者・出入金の流れを調査されます。「贈与の事実」がなければ名義預金として追徴されます。
最多指摘②
生前贈与の7年加算漏れ
2024年改正で相続前7年以内の贈与は課税財産に加算。過去の通帳・振込履歴を遡って確認されます。「毎年110万円贈与していた」場合でも7年分は加算対象です。
最多指摘③
現金・タンス預金の申告漏れ
自宅に保管していた現金は申告から漏れやすいです。被相続人の収入・支出と申告財産の整合性を確認されます。「現金はわからない」では済まされません。
よく指摘④
不動産評価の誤り
路線価の読み間違い・補正率の誤用・貸家建付地の評価誤りなど。低く評価しすぎた場合は追徴、高く評価していた場合は還付の対象になります。
よく指摘⑤
みなし相続財産の計上漏れ
生命保険金・死亡退職金の非課税枠超過分の計上漏れ。保険会社からの支払いデータは税務署に送付されているため、未申告は必ず発覚します。
よく指摘⑥
非上場株式の評価誤り
同族会社の株式評価は複雑で誤りが多いです。純資産価額方式・類似業種比準方式の選択・計算ミスが指摘されます。専門税理士への依頼が必須です。

税務調査の流れ(実地調査の場合)
1
税務署から「お尋ね」または事前通知が届く申告後2〜3年が多い
事前通知(電話)では調査の日程・調査する税目・対象期間が伝えられます。通知から調査日まで通常2週間〜1ヶ月程度の猶予があります。この間に申告内容の確認・書類整理・税理士への相談を行いましょう。
2
調査日に税務署員が自宅または事務所を訪問する1〜2日間
通常2名の調査官が訪問します。預金通帳・不動産の書類・贈与契約書・遺産分割協議書などの書類確認と聞き取りが行われます。税理士に同席してもらうことを強く推奨します。
3
調査官から指摘事項の連絡がある数週間〜数ヶ月後
調査後、申告内容に問題がなければ「是認(問題なし)」の通知が届きます。問題がある場合は修正申告の依頼または更正処分が行われます。
4
修正申告・追徴税の納付(または是認)過少申告加算税10〜15%
修正申告に応じる場合は追加税額+過少申告加算税(10〜15%)+延滞税を納付します。指摘内容に不服がある場合は修正申告に署名せず、審査請求を行う権利があります。
是認通知で終了(問題なし)約20%が是認
申告内容が正しければ「是認」となり追加課税はありません。正しく申告していれば調査を恐れる必要はありません。調査終了後5年間は同一案件の再調査は原則できません。

調査が来ても困らないための5つの対策
1
相続税専門の税理士に申告を依頼する
調査率・追徴額は「税理士なし申告」で大幅に高くなる傾向があります。専門の税理士は評価減の適用・名義預金の整理・贈与の立証などを含む申告書を作成するため、調査が来ても対応しやすくなります。調査が入った場合も税理士が対応します。
2
贈与契約書・通帳を10年以上保管する
「贈与の事実」を証明できるかどうかが名義預金判定の分岐点です。毎年の贈与契約書・振込記録・受贈者本人による通帳管理の証拠を保管しましょう。調査は申告日から5年(悪質なら7年)遡れるため、最低7年分の書類保管を推奨します。
3
被相続人の預金通帳の出入金履歴を事前に整理する
調査官は過去10年分の通帳を確認します。大きな出金・送金があった場合はその使途を説明できるよう整理しておきます。「記憶にない」「わからない」という回答が多いほど調査が長引き、不利になります。
4
調査当日は税理士に必ず同席してもらう
調査官の質問に対して即答せず「税理士に確認します」と答えることが重要です。税理士なしで調査に応じると不利な発言をしてしまうリスクがあります。事前通知を受けたらすぐに申告を担当した税理士(または税務調査に強い税理士)に連絡してください。
5
申告漏れに気づいたら調査前に自主修正申告する
税務調査の通知前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税は不課税、通知後・調査前なら5%で済みます。調査後は10〜15%に増加します。申告に不安があれば今すぐ税理士に相談し自主修正の検討を推奨します。

よくある疑問
税務調査を断ることはできますか?
正当な理由なく調査を拒否することはできません。税務調査は国税通則法に基づく行政調査で、拒否・妨害した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される場合があります。ただし「日程の変更」「調査場所の変更」「税理士の同席」を求めることは正当な権利です。調査通知を受けたら速やかに税理士に相談してください。
調査官にどこまで答えなければなりませんか?
調査官の質問に対して正直に回答する義務がありますが、「わからない」「確認してから回答します」と答えることは問題ありません。推測や曖昧な記憶で回答することは避け、税理士に確認してから答えるよう心がけましょう。調査官が求める書類については提出を拒否できますが、正当な理由がない場合は不利になります。
調査で指摘された内容に不服がある場合はどうすればいいですか?
修正申告書への署名前であれば、署名を拒否し「更正処分」を受ける権利があります。更正処分に対して不服がある場合は、処分を知った日から3ヶ月以内に国税不服申立て(審査請求)を行えます。審査請求でも解決しない場合は国税不服審判所、さらに税務訴訟(行政訴訟)という手段もあります。不服申し立てを検討する場合は税務訴訟に強い弁護士・税理士への相談を推奨します。
調査が来た場合、どのような書類を用意すれば良いですか?
主な準備書類:①被相続人・相続人全員の過去10年分の預金通帳②不動産の権利証・固定資産税納税通知書③贈与契約書・振込記録④遺産分割協議書⑤生命保険・退職金関係の書類⑥過去の相続税申告書(前回の相続がある場合)⑦被相続人の収入証明・確定申告書。通知から調査日まで2週間程度あることが多いため、この期間に整理・確認しましょう。
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