手続きガイド > 7日以内 > 葬儀・火葬の手続き

葬儀・火葬の手続きと相続の関係
費用・香典・領収書の正しい扱い方

葬儀・火葬は死亡届の提出と並行して進める必要があります。相続の観点からは「葬儀費用の相続税控除」「香典の扱い」「領収書の保管」が重要です。感情的に辛い時期ですが、相続に影響する行動を把握しておきましょう。

葬儀〜納骨までの流れ
1
葬儀社に連絡・打ち合わせをする死亡直後
病院・施設から遺体を搬送するため、まず葬儀社に連絡します。葬儀の規模・形式(一般葬・家族葬・直葬など)・日程・費用について打ち合わせます。複数社の見積もりを比較することを推奨します。
2
死亡届を提出し火葬許可証を取得する7日以内
葬儀社が代行して死亡届を役場に提出し、火葬許可証を取得します。火葬許可証がなければ火葬を行えません。葬儀社が管理してくれますが、受け取ったか確認しておきましょう。
3
通夜・告別式を執り行う
宗教・慣習に従って通夜・告別式を行います。受け取った香典は記録(芳名帳)を残しておきましょう。香典返しの費用も葬儀費用として記録します。
4
火葬を行い埋葬許可証を受け取る領収書を保管
火葬場で火葬を行います。火葬後、火葬許可証に火葬済みの証明が押され「埋葬許可証」として返却されます。埋葬許可証は墓地への埋葬・納骨に必要なため大切に保管します。
5
葬儀費用の全領収書を集める相続税に重要
葬儀社・火葬場・お布施・返礼品など、すべての費用の領収書を収集します。相続税の計算で葬儀費用は課税遺産から控除できます。領収書がないものはメモ(金額・支払先・日付)で代用できます。
6
四十九日法要・納骨を行う〜49日後
一般的に死後49日目に法要を行い、納骨します。四十九日は遺産分割協議を始めるタイミングとしても区切りになることが多いです。

葬儀費用の種類と相場
葬儀一式費用
祭壇・棺・遺体搬送・スタッフなど葬儀社への基本費用。一般葬:100〜250万円、家族葬:50〜150万円、直葬(火葬のみ):20〜50万円が目安。
火葬費用・斎場使用料
公営火葬場は数千円〜3万円程度。民間は5〜10万円程度。斎場(葬儀式場)の使用料は10〜30万円程度。地域によって大きく異なる。
お布施・宗教費用
寺院・神社・教会への謝礼。お布施の相場は宗旨・地域・規模によって大きく異なる(10〜100万円以上)。事前に菩提寺に確認が必要。
飲食・返礼品費用
通夜振る舞い・精進落とし・返礼品(香典返し)など。参列者人数によって変動。返礼品は香典額の1/3〜半額が目安。
墓地・納骨費用
既存の墓への納骨は10〜30万円程度。新たに墓を購入する場合は数十〜数百万円。樹木葬・散骨など多様な選択肢がある。
遺品整理・死後手続き費用
遺品整理業者:10〜50万円程度。部屋の清掃・家財処分が含まれる。独居だった場合は特に費用がかかることも。

相続税の計算と葬儀費用の関係
葬儀費用は相続財産から差し引ける(債務控除)
控除できる費用:葬儀社への費用・火葬費用・お布施(領収書なしでも可)・死体の捜索・運搬費用・通夜振る舞い費用
お布施は領収書なしでもOK:寺院・神社へのお布施は慣習上領収書が出ないことが多いが、金額・支払先・日付をメモしておけば控除できる
控除できない費用:香典返しの費用・墓地・墓石の購入費・初七日・四十九日などの法要費用・遺体の解剖費用・遺品整理費用
墓地・墓石は相続税も非課税:祭祀財産(墓地・仏壇・位牌など)は相続財産に含まれず相続税も非課税。ただし購入費用は葬儀費用としての控除もできない
葬儀費用の控除は相続税申告の際に「債務控除」として計上します。課税遺産総額が減るため、相続税が減額されます。控除の適用には税理士への申告依頼を推奨します。

香典・弔慰金の相続上の扱い
香典は相続財産ではない
香典は喪主への贈与とみなされ、相続財産には含まれません。遺産分割協議の対象にもなりません。常識的な金額であれば贈与税・相続税も非課税です。
香典は誰のものか
香典を受け取った喪主(主催者)の財産になるのが原則です。相続人間で分配するかどうかは喪主と相続人間の話し合いで決めます。法的義務はありません。
香典帳・芳名帳を保管する
香典の金額・送り主を記録した芳名帳・香典帳は後の香典返し・法要案内のために保管します。相続とは直接関係しませんが大切な記録です。
高額香典には贈与税がかかる場合も
社会通念上著しく高額な香典(数百万円など)は贈与税の対象になる場合があります。通常の範囲(数千円〜数万円)であれば問題ありません。

相続の観点からの注意点
  • !
    葬儀費用を相続財産から支出しても「単純承認」にならない
    本来、相続財産を処分すると単純承認とみなされますが、葬儀費用の支出は相続財産の「保存行為」として例外的に認められます。ただし過大な支出は問題になる場合があるため、必要最小限の支出にとどめることを推奨します。
  • !
    葬儀費用は相続放棄後でも支払える
    相続放棄をした場合でも、社会的慣習として認められている範囲の葬儀費用であれば支払いが許容されます。ただし相続財産から支払う場合は注意が必要です。放棄前に専門家に確認しましょう。
  • すべての費用の領収書・明細を保管する
    相続税申告で葬儀費用を控除するためには、金額・支払先・日付が確認できる書類が必要です。葬儀社から「葬儀費用明細書」を必ず受け取り、その他の支出もメモに記録しておきましょう。申告まで最低1年間は保管が必要です。
  • 複数の葬儀社から見積もりを取る
    急いでいる状況でも、可能であれば2〜3社から見積もりを取ることを推奨します。同じ内容でも数十万円の差が出ることがあります。事前に「葬儀の流れ・含まれるサービス・追加費用の有無」を確認しましょう。
  • ×
    相続財産の預金を葬儀費用に使い込まない
    必要最小限を超えて相続財産から多額の現金を引き出した場合、「単純承認」とみなされて相続放棄ができなくなるリスクがあります。また他の相続人から「使い込み」と疑われるトラブルの原因にもなります。支出の記録を必ず残しましょう。

よくある疑問
葬儀費用は誰が払うのですか?相続人で割り勘にできますか?
法律上は喪主が負担するのが原則です。ただし相続人間で合意があれば割り勘にすることも可能です。相続財産から支出する場合は、遺産分割協議の際に「葬儀費用として相続財産から支払った」ことを相続人全員で確認しておくと後のトラブルを防げます。
直葬(火葬のみ)でも法的に問題ありませんか?
問題ありません。直葬は通夜・告別式を省略して火葬のみを行う形式で、費用を大幅に抑えられます(20〜50万円程度)。近年増加しており法律上も認められています。ただし菩提寺がある場合は事前に相談が必要です。また親族間の感情的な対立を招くこともあるため、事前に親族への説明・合意を取っておくことを推奨します。
お布施に領収書をもらえない場合、相続税の控除はできますか?
できます。お布施は宗教的な謝礼であり、慣習上領収書が発行されないことが多いですが、支払先・金額・日付をメモしておけば相続税申告での控除が認められます。メモには「〇〇寺 住職 〇〇師 お布施 〇〇円 〇〇年〇月〇日」などと記録しておきましょう。
遺骨を海洋散骨・樹木葬にする場合の手続きは?
火葬後に「埋葬許可証」を受け取ります。海洋散骨は業者を通じて行う場合は埋葬許可証の提出が求められます。樹木葬は墓地として許可を受けた施設であれば埋葬許可証を提出して納骨します。いずれも業者・施設への事前確認が必要です。費用は海洋散骨5〜30万円、樹木葬10〜100万円程度が目安です。
初七日・四十九日法要の費用は相続税の控除対象になりますか?
なりません。初七日・四十九日などの法要費用は葬儀費用の債務控除の対象外です。墓石・墓地の購入費用も同様に控除できません。控除できるのは「葬儀・火葬・遺体の搬送・通夜振る舞い・お布施」などに限られます。
「葬儀費用を相続税申告で正しく控除したい」
「葬儀後の手続きを一緒に整理してほしい」場合はご相談を。
今すぐ相談する ↗