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相続不動産を共有名義にするリスクと問題点
相続不動産を共有名義にするリスクと問題点
「とりあえず共有」が将来最大のトラブルになる理由
遺産分割が決まらず「とりあえず共有名義にしよう」という選択は、問題を先送りするだけで将来の深刻なトラブルの種になります。共有名義の具体的なリスクと、早めに解消すべき理由を解説します。
共有名義を放置すると相続のたびに共有者が増え続ける
実例:兄弟2人で共有 → 10年後に相続が重なると…
現在
長男(1/2)
次男(1/2)
↓ 長男が死亡
10年後
長男の妻(1/4)
長男の子A(1/8)
長男の子B(1/8)
次男(1/2)
↓ 次男も死亡
20年後
長男の妻(1/4)
長男の子A(1/8)
長男の子B(1/8)
次男の妻(1/4)
次男の子X(1/8)
次男の子Y(1/8)
2人で共有 → 20年後に6人の共有。全員の合意なしに売却・リフォーム・担保設定ができません。共有者が増えるほど連絡・合意形成が困難になります。日本全国で「所有者不明土地」が増加している最大の原因がこの「共有名義の放置」です。
共有名義の6つの重大リスク
最重要①
売却・担保設定に全員の同意が必要
不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すると売れません。住宅ローンを組む際の担保設定も同様です。
最重要②
相続のたびに共有者が増え続ける
共有者が亡くなるとその持分がさらに相続され、数十年後には見ず知らずの人と共有になることも。連絡自体が困難になります。
重要③
リフォーム・大規模修繕にも同意が必要
建物の大規模修繕や用途変更には過半数(持分の過半数)の同意が必要です。一人が出費を拒否すると管理が止まります。
重要④
共有者の一人が持分を第三者に売却できる
自分の持分だけなら他の共有者の同意なしに第三者に売れます。見知らぬ不動産業者・投資家が共有者になることも。
注意⑤
固定資産税・管理費の負担で揉める
固定資産税は代表者に課税されますが、持分に応じた分担義務があります。「払わない共有者」がいると代表者が全額負担することになります。
長期的⑥
相続登記義務(2024年〜)に対応できない可能性
2024年から相続登記が義務化。共有者の一人が相続登記を放置すると10万円以下の過料のリスク。共有者全員の動向を把握する必要があります。
共有不動産で「何をするのに誰の同意が必要か」一覧
| 行為の内容 | 必要な同意 | 備考 |
|---|---|---|
| 不動産全体の売却 | 共有者全員 | 一人でも反対すると売却できない。 |
| 自分の持分だけの売却 | 不要 | 他の共有者の同意なしに売却可能。ただし時価の50〜70%になることが多い。 |
| 担保設定(抵当権の設定) | 共有者全員 | 全体への担保設定は全員の同意が必要。 |
| 長期の賃貸借契約の締結 | 共有者全員 | 3年超の賃貸は全員の同意が必要(民法)。 |
| 短期賃貸・管理行為(修繕等) | 持分過半数 | 持分の過半数の同意で可能。少数持分者を上回れば実施できる。 |
| 保存行為(現状維持) | 各自単独 | 雨漏り修理・不法占拠者への明け渡し請求など現状維持行為は単独でできる。 |
| 共有物分割請求(共有解消) | 単独で請求可 | 他の共有者を相手に分割請求訴訟を起こせる。合意がなければ競売になることも。 |
共有名義を解消する4つの方法
全員合意で売却
一人が他の持分を買取
持分を第三者に売却
共有物分割請求訴訟
最善策
全員合意のうえで売却・換価分割する
時価での売却が可能・最も有利
共有者全員が合意して不動産を売却し、持分に応じた売却代金を分配します。時価での売却ができるため最も有利な方法です。「今は合意できないが数年後に売ろう」という合意をしておく場合は、期限と条件を遺産分割協議書に明記することを推奨します。
1全員で売却の合意・時期・価格の条件を決める
2不動産業者に売却を依頼し買主を探す
3売却代金を持分比率で分配する
4譲渡所得税の申告を税理士に依頼する
不動産を残したい場合
一人が他の共有者の持分をすべて買い取る
不動産を手放さずに単独所有できる
一人の共有者が他の全員の持分を買い取ることで単独所有にします。買取価格は時価の持分割合が基準です。資金準備が課題で、不動産を担保に借入れを行うことが一般的です。全員の合意があれば最も円満な解消方法です。
1不動産の時価を複数業者に査定させて合意する
2買取資金の準備(銀行融資・手持ち資金)
3他の共有者全員から持分を購入・所有権移転登記
4売却した共有者は持分の譲渡所得税の申告が必要
合意が得られない場合の選択肢
自分の持分だけを第三者(業者)に売却する
時価の50〜70%が目安・即現金化できる
他の共有者の同意なしに自分の持分だけを売却できます。ただし持分だけを購入するのは「共有持分買取専門業者」が主で、時価の50〜70%程度の価格になることが多いです。売却された持分を持つ業者が他の共有者に対して「共有物分割請求」を起こし、最終的に競売になる可能性があります。
1共有持分買取専門業者に査定を依頼する
2他の共有者に先買権の行使(同条件での買取)を通知する
3他の共有者が応じない場合は業者に売却
!">業者が取得後に他の共有者へ共有物分割請求(競売)を起こすリスクあり
最終手段
共有物分割請求訴訟で強制的に解消する
合意不要・競売になることが多い
共有者の一人が裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起することで、合意なしに強制的に共有を解消できます。裁判所は現物分割・価格賠償(一人が取得し代償金を払う)・換価分割(競売)のいずれかを命じます。競売になると時価より2〜3割安くなるため、最終手段として位置づけてください。
1弁護士に共有物分割請求訴訟の相談・依頼(必須)
2地方裁判所に訴訟を提起する(申立費用は財産額により変動)
3裁判官が現物分割・価格賠償・換価分割を決定
4換価分割(競売)の場合は時価の70〜80%程度で落札されることが多い
共有名義を選ぶ前に知っておくべきこと
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「とりあえず共有」は最もコストがかかる選択になりやすい今すぐ意見をまとめる手間を省くために共有を選ぶと、数年後に「共有物分割請求訴訟→競売」という最も不利な結果になることがあります。競売では時価の70〜80%での落札が平均的で、全員が損をします。今すぐ決断して代償分割・換価分割を選ぶ方が長期的に有利なことがほとんどです。
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共有者の一人が死亡すると「相続人全員の協力」が必要になる共有者が死亡すると、その持分が配偶者・子に相続されます。新たな共有者との協議が必要になり、面識のない人・疎遠な人との交渉が発生します。特に認知症の相続人・行方不明者がいると後見人選任・不在者財産管理人の申立てが必要になり手続きが極めて複雑になります。
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共有にする場合は「解消の期限・条件」を協議書に明記するどうしても共有にする場合は「○年以内に売却する」「一人が買取る場合の価格基準」「費用負担の方法」を遺産分割協議書に明記することを強く推奨します。口頭の合意は後から覆されることが多く、文書化が唯一の防衛策です。
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すでに共有になっている場合は早めの解消が鍵すでに共有名義になっている場合、共有者が元気で連絡可能なうちに解消することを推奨します。共有者が高齢になるほど・認知症リスクが高まるほど・相続が重なるほど解消が困難になります。今すぐ不動産業者・弁護士に相談して解消方法を検討しましょう。
よくある疑問
共有名義のままでも住み続けることはできますか?▶
法的には可能です。ただし他の共有者から「賃料相当額の支払い請求」をされる可能性があります。居住している共有者は、持分を超える部分の不動産を無償で使用していることになるため、他の共有者から不当利得として賃料相当額(持分超過部分)を請求されることがあります。居住を継続したい場合は代償分割で単独所有にすることを推奨します。
共有持分を担保に個人でお金を借りることはできますか?▶
自分の持分だけを担保に融資を受けることは法的には可能ですが、金融機関は通常、共有持分だけへの抵当権設定を嫌うため、一般の銀行ローンは困難です。「共有持分専門の融資業者」(金利が高い)が対応することがあります。ローンが返済できない場合は持分が競売にかかり、見知らぬ業者が共有者になるリスクがあります。このリスクを防ぐためにも早期の共有解消を推奨します。
共有持分の固定資産税は誰が払いますか?▶
固定資産税は市区町村が代表者一人に全額を請求します(共有者全員連帯して納税義務)。代表者が立替えた分を他の共有者に持分割合で請求する権利がありますが、払わない共有者がいると代表者が負担することになります。長期間払わない場合は不払い共有者の持分が差し押さえられることもあります。
共有物分割請求訴訟を起こされた場合、どう対応すればいいですか?▶
まず弁護士に相談することを最優先してください。訴訟を起こされた場合でも、判決前に和解(全員合意による売却や一人が買取る合意)すれば競売を避けられます。訴訟が提起された事実は他の共有者に「このまま放置すれば競売になる」という現実を示すため、合意交渉が進むことも多いです。弁護士を通じた和解交渉を積極的に進めてください。
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