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財産別の相続税評価額の調べ方
不動産・株式・預金・保険・その他の評価方法を一覧解説

相続税の計算では財産を「相続税評価額」で評価します。評価方法は財産の種類ごとに法律で定められており、時価と大きく異なる場合があります。財産ごとの評価方法を把握することが正確な申告と節税の第一歩です。

財産の種類を選んで評価方法を確認する
不動産(土地・建物)
株式・有価証券
現金・預貯金
生命保険・退職金
その他の財産
宅地(路線価方式) 市街地の土地 — 路線価×面積×補正率
評価額 = 路線価(円/㎡) × 面積(㎡) × 各種補正率
路線価は国税庁「財産評価基準書」(路線価図)で確認。毎年7〜8月に公表される。
補正率:奥行補正・不整形地補正・間口狭小補正・がけ地補正・私道補正など多数あり。
路線価は時価の80%水準が目安。貸宅地・貸家建付地はさらに低く評価される。
路線価方式の概算計算
路線価 円/㎡
面積
補正率(概算)
評価額:約4,500万円
宅地(倍率方式) 郊外・農村部の土地 — 固定資産税評価額×倍率
評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率(国税庁路線価図に記載)
路線価が設定されていない地域(農村部・郊外)に適用。
固定資産税評価額は市区町村役場・固定資産税納税通知書で確認。
倍率は国税庁「財産評価基準書(倍率表)」で確認。地域・地目ごとに異なる。
建物(家屋) 固定資産税評価額がそのまま相続税評価額
評価額 = 固定資産税評価額(時価の50〜70%程度が目安)
建物の評価は土地と違い路線価を使わず、固定資産税評価額=相続税評価額。
賃貸している建物(貸家)は:固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)で評価減。
固定資産税評価額は毎年4〜6月の固定資産税納税通知書または市区町村の縦覧制度で確認。
上場株式 4つの価格のうち最も低い価格を採用
①相続開始日の終値 ②相続開始日の属する月の月平均終値
③前月の月平均終値 ④前々月の月平均終値
→ 4つのうち最も低い価格 × 株数
月平均終値は証券取引所または証券会社の残高証明書で確認。
相続開始日が土日祝日の場合は前後の取引日の終値を使用。
株価が低い月を選べるため、相続人に有利な評価が自動的に採用される。
上場株式の概算評価計算
4価格の最低値 円/株
保有株数
評価額:250万円
投資信託 相続開始日の基準価額(または解約価格)で評価
評価額 = 相続開始日の基準価額 ÷ 10,000 × 口数 − 解約手数料等
基準価額は各資産運用会社のウェブサイトまたは販売会社(銀行・証券会社)の残高証明書で確認。
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)は元本と同額で評価。
非上場株式 純資産価額方式または類似業種比準方式で評価(専門家必須)
評価方法は会社の規模・業種・財務状況で異なる。
大会社:類似業種比準方式 小会社:純資産価額方式 中会社:折衷
計算が非常に複雑。会社の決算書・法人税申告書が必要。
評価額の差が数千万円〜数億円になることがある。税理士への依頼が必須。
事業承継税制(納税猶予)の活用も合わせて検討する。
現金・預貯金 相続開始日時点の残高+既経過利息が評価額
評価額 = 相続開始日時点の残高既経過利息(税引後)
普通預金・当座預金は残高のみ(既経過利息は少額のため通常省略可)。
定期預金・定額貯金は残高+相続開始日までの経過利息(税引後)が評価額。
残高証明書は各金融機関に請求(「相続開始日時点の残高証明書」として取得)。
外貨預金はTTBレート(相続開始日のTTBまたは合理的な日のレート)で円換算。
貸付金・未収金 元本+既経過利息の合計が評価額
評価額 = 元本残高相続開始日までの利息
回収不能な貸付金(債務者が破産・行方不明など)は評価ゼロになる場合がある。
家族間の貸付金も課税対象。「名目だけの貸付」は贈与と認定されるリスクがある。
死亡保険金(みなし相続財産) 受取金額 − 非課税枠(500万円×法定相続人数)
課税対象額 = 受取保険金合計500万円 × 法定相続人数
「被相続人が保険料を負担・受取人が相続人」の場合にみなし相続財産として課税。
非課税枠を超えた部分のみ相続財産に加算。複数の保険がある場合は合算して計算。
受取人が相続人以外(内縁・第三者)の場合は全額が相続税の対象(非課税枠なし)。
死亡保険金の課税額計算
死亡保険金合計 万円
法定相続人数
課税対象額:1,500万円(非課税枠1,500万円を超えた分)
死亡退職金(みなし相続財産) 保険金と同様 — 500万円×相続人数が非課税
課税対象額 = 受取退職金合計500万円 × 法定相続人数
保険金と退職金の非課税枠は別々に計算。合算しません。
被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当等が対象。
弔慰金は一定額(普通給与×6ヶ月または36ヶ月)まで非課税。超過分は退職金と同様に課税。
自動車 中古車市場の取引価格(時価)で評価
評価額 = 相続開始日時点の売買実例価格(中古車買取業者の査定額等)
カーセンサー・グーネット等の中古車査定や業者査定で時価を確認。
古い車・走行距離が多い場合は評価額ゼロになることもある。
ゴルフ会員権 取引相場の70%で評価
評価額 = 相続開始日の取引相場 × 70%
会員権業者のウェブサイトまたは会員権取引業者に問い合わせて取引相場を確認。
取引相場のないゴルフ会員権(株式ゴルフ場・預託金型)は個別に評価方法が異なる。
家庭用財産・美術品・骨董品 売買実例価格または精通者意見価格で評価
一般家財:売買実例価格(通常は時価の5〜10%程度)
美術品・骨董品:売買実例価格 or 専門家の鑑定評価
一般的な家庭用品(テレビ・家具等)は売買実例価格(フリマアプリ等の中古価格が参考)。
高価な美術品・骨董品・宝飾品は専門家の鑑定書を取得して評価する。
貴金属(金・銀・白金)は相続開始日の市場価格で評価。

財産別 評価方法・評価額の目安 早見表
財産の種類 評価方法の概要 時価との差 確認先
市街地の土地 路線価×面積×補正率 時価の約80% 国税庁路線価図
郊外・農地 固定資産税評価額×倍率 時価の70〜80% 市区町村・国税庁倍率表
建物(家屋) 固定資産税評価額(=評価額) 時価の50〜70% 固定資産税納税通知書
上場株式 4価格(終値・3ヶ月平均)の最低値×株数 時価に近い 証券取引所・残高証明書
投資信託 相続開始日の基準価額×口数 時価に近い 運用会社・残高証明書
預貯金 残高+既経過利息 ほぼ同額 各金融機関の残高証明書
死亡保険金 受取金額−500万円×相続人数(みなし財産) 非課税枠で節税可 保険証書・保険会社
自動車 中古車市場の取引価格(時価) 時価に近い 中古車査定・業者
ゴルフ会員権 取引相場×70% 取引相場の70% 会員権業者
非上場株式 純資産価額方式・類似業種比準方式 評価額が大きく変動 税理士(専門家必須)

評価額を調べるときの注意点
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    評価額は「相続開始日時点」の価格で固定される
    株価が申告時点で下がっていても、評価は相続開始日(死亡日)時点の価格で行います。申告後に価格が変動しても評価額は変わりません。相続税申告の準備は相続開始後すみやかに開始し、早めに残高証明書・評価書類を取得しましょう。
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    不動産の評価減(補正)を見落とすと過大評価になる
    不整形地・がけ地・私道・間口が狭い土地などは各種補正率で評価を下げられます。これを知らずに路線価×面積だけで計算すると評価額が過大になり、払い過ぎにつながります。相続税専門の税理士は「評価減の適用漏れ」を見つけることが仕事の大きな部分です。
  • 路線価図・倍率表は国税庁ウェブサイトで無料確認できる
    国税庁のウェブサイト(財産評価基準書)で毎年の路線価図・倍率表・各補正率の表を無料で閲覧できます。自分で概算を計算する際に活用しましょう。ただし補正率の適用・特殊な評価方法は専門家への確認を推奨します。
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    マイナスの財産(債務)も正確に把握する
    相続税の計算では借金・未払金・葬儀費用などのマイナス財産を課税財産から差し引きます。被相続人のローン残高・クレジット残債・医療費未払いなどを漏れなく確認することで課税財産を減らせます。信用情報機関への照会も有効です。

よくある疑問
路線価図はどこで確認できますか?使い方を教えてください。
国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。毎年7月初旬に最新版が公表されます。使い方:①国税庁サイトにアクセス②都道府県・市区町村を選択③地図上で対象の道路を探し路線価(千円/㎡)を確認④評価額=路線価×面積×補正率で計算します。路線価は「230C」のように数字とアルファベットで表示され、数字が千円単位の路線価、アルファベットが借地権割合を表します。
相続税の評価額と実際の売却価格(時価)が大きく違う場合はどうすればいいですか?
相続税の評価額は法律で定められた評価方法によるため、時価と異なっていても原則として評価額で申告します。ただし「著しく不合理な評価」と判断される場合は時価申告も認められることがあります(最高裁令和4年判決を参考)。逆に評価額が時価より高すぎる場合は、補正率の適用漏れがないか税理士に確認することで評価を下げられる可能性があります。
海外の財産はどのように評価しますか?
海外の財産も日本の相続税の対象(被相続人が日本居住者の場合)です。評価方法は日本の評価方法に準じて行い、外貨建て財産は相続開始日のTTBレートで円換算します。海外不動産は現地の評価証明書・固定資産税証明書などを取得して評価します。現地の税制との二重課税については外国税額控除を活用できる場合があります。国際相続は専門の税理士への依頼を推奨します。
「財産の評価額を正確に計算したい」「評価減の適用漏れがないか確認したい」
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