専門家活用 › 不動産鑑定士・土地家屋調査士の役割

不動産鑑定士・土地家屋調査士の役割
相続不動産を「正しく評価・確定」するための2つの専門家

相続に不動産が絡む場合、税理士・司法書士以外に「不動産鑑定士」と「土地家屋調査士」が必要になるケースがあります。この2つの資格は役割が全く異なります。鑑定士は「価値(いくらか)」を、土地家屋調査士は「形状・境界(どこまでか)」を専門とします。どちらが必要かを正確に判断することが、相続手続きをスムーズに進める鍵です。

2つの専門家 — 役割の違いを一目で把握する
項目 🏛 不動産鑑定士 📐 土地家屋調査士
専門分野 不動産の「価値(金額)」の評価 土地の「形状・境界・面積」の確定
主な業務 不動産鑑定評価書の作成・路線価否認・時価算定 土地境界確定・測量・表題登記・分筆登記
相続での活用場面 遺産分割・相続税申告・路線価より低い評価が必要な場合 境界が不明・未登記建物・土地を分けて相続する場合
費用の目安 20〜50万円(物件の規模・複雑さによる) 30〜80万円(測量範囲・隣地の数による)
依頼先の探し方 日本不動産鑑定士協会連合会の検索サイト 日本土地家屋調査士会連合会の検索サイト
一緒に依頼することが多い専門家 相続専門の税理士(評価減の根拠として) 司法書士(境界確定後の相続登記のため)
ℹ️ 不動産業者の「査定」は無料ですが法的効力はありません。遺産分割協議・相続税の申告・裁判で使える公式な評価書は「不動産鑑定士」にしか作成できません。
🏛 不動産鑑定士 不動産の「正しい価値」を公式に証明する唯一の国家資格
相続における不動産鑑定士の主な役割
相続税評価まわり
路線価を否認するための鑑定評価書の作成
不整形地・崖地・間口狭小地の減額評価
市街地農地・市街化調整区域の時価算定
借地権・底地の評価(権利関係が複雑な土地)
遺産分割まわり
遺産分割協議の際の「時価」の客観的根拠提供
不動産を現物で相続する人と現金で相続する人の間の公平な評価
共有不動産を一人が取得し他の相続人に代償金を払う場合の金額算定
売却・調停まわり
相続不動産を売却する際の適正価格の確認
家庭裁判所の調停・審判で提出する評価証拠
遺留分侵害額請求での不動産評価の根拠
鑑定士にできないこと
相続税の申告・節税アドバイス(→税理士)
境界確定・測量・登記(→土地家屋調査士)
相続人間の代理交渉・調停(→弁護士)
相続登記の申請(→司法書士)
⚠️ 路線価は「時価の約80%」を目安に設定されますが、現実には路線価より実勢価格が低い土地も存在します。不整形地・崖地・利用困難地などは鑑定評価書を活用することで相続税評価額を路線価より引き下げられる場合があり、税理士との連携が重要です。
不動産鑑定士に依頼する費用の目安
20〜30万円
住宅地・宅地
(標準的な形状)
30〜50万円
農地・雑種地・
複雑な権利関係
50万円〜
商業ビル・
収益不動産・大規模地
✓ 費用対効果の考え方:鑑定費用30万円で相続税評価額を1,000万円引き下げられれば、相続税(30%税率なら)300万円の節税につながります。土地の状況によって大きく効果が変わるため、まず税理士に「鑑定が有効か」を相談してください。

📐 土地家屋調査士 土地の「境界・形状・面積」を法的に確定する国家資格
相続における土地家屋調査士の主な役割
境界確定まわり
隣地所有者との立会いのもとで境界を確定
境界確定測量図・筆界確認書の作成
境界標(コンクリート杭・金属鋲)の設置
土地の正確な面積の計測・確定
登記申請まわり
未登記建物の表題登記(登記がない建物を登記)
建物の滅失登記(取り壊し後の登記抹消)
土地の分筆登記(1筆を複数に分けて登記)
地目変更登記(農地→宅地など利用目的の変更)
相続手続きとの連携
遺産分割前の境界確定で相続後のトラブル防止
土地を複数の相続人に分けて相続する際の分筆
売却前の境界明示(買主が境界確認を要求する場合)
未登記建物の表題登記後に司法書士が相続登記を申請
土地家屋調査士にできないこと
相続登記(所有権移転)の申請(→司法書士)
不動産の価値評価(→不動産鑑定士)
相続税申告・節税(→税理士)
境界紛争の訴訟代理(→弁護士)
✓ 土地家屋調査士が必要かどうかの判断:登記簿の面積と実測面積が異なる、隣地との境界が不明確、建物が未登記、土地を複数の相続人で分けたい ——これらに1つでも該当する場合は相続登記の前に土地家屋調査士に相談することを推奨します。
土地家屋調査士に依頼する費用の目安
30〜50万円
境界確定測量
(隣地2〜4筆程度)
+5〜15万円
分筆登記
(境界確定後)
5〜15万円
未登記建物の
表題登記

どんな場合に依頼すべきか
不動産鑑定士が必要なケース
土地家屋調査士が必要なケース
鑑定①路線価より実勢価格が低いと感じる土地がある
不整形地・崖地・間口が狭い土地・高圧線下の土地・土壌汚染の疑いがある土地などは、路線価通りに評価すると相続税を払い過ぎる可能性があります。鑑定評価書を取得して税理士と連携することで評価額を下げられるケースがあります。
鑑定②遺産分割協議で不動産の評価額を巡って意見が対立している
相続人の一人が「不動産をもらう代わりに他の相続人に現金を払う」代償分割をする際、その金額が争点になりやすいです。不動産鑑定士による公正な評価書があることで、協議の根拠が明確になり合意しやすくなります。
鑑定③家庭裁判所の調停・審判で不動産の価値を証明する必要がある
遺産分割調停や遺留分請求の訴訟において、不動産の評価額は重要な争点です。不動産鑑定士による評価書は裁判所でも証拠として認められる唯一の公式書類です。
確認推奨収益不動産(賃貸マンション・アパート・駐車場)がある
収益不動産は収益還元法・原価法など複数の評価手法があり、路線価と実勢価格の乖離が大きくなりがちです。相続専門の税理士と鑑定士を組み合わせることで最適な評価を実現できます。
測量①登記簿の面積と実際の面積が一致しない・境界標がない
古い登記では実測面積と登記面積が大きく異なるケースがあります。相続登記をそのまま行うと将来売却時に問題が発覚します。相続のタイミングで測量・境界確定を行っておくと後のトラブルを防げます。
測量②隣地との境界が不明確・隣人とのトラブルが懸念される
境界が曖昧なまま相続登記をすると、新しい所有者(相続人)が隣地との境界トラブルを引き継ぐことになります。特に隣地が建て替えや売却を予定している場合は早めの境界確定が重要です。
測量③建物が未登記(登記がない建物がある)
未登記建物は相続登記できません。まず土地家屋調査士が表題登記を行い、その後司法書士が所有権保存登記→相続登記の順で手続きを進めます。未登記建物の相続登記義務(2024年〜)にも注意が必要です。
測量④土地を複数の相続人で分けて取得したい(分筆)
1筆の土地を相続人Aと相続人Bで分けて相続する場合、まず土地家屋調査士が分筆登記を行い、その後司法書士が各々の相続登記を申請します。分筆前に境界確定が必要なため、早めの依頼が重要です。

良い専門家を選ぶ — 依頼前チェックリスト
依頼前に確認すること(チェックして進捗を管理)
0 / 11 確認済み
不動産鑑定士の選び方
相続案件・相続税申告との連携経験が豊富か確認した最重要
対象物件と同種・同地域の評価実績があるか確認した(農地・収益物件など)重要
税理士との連携体制があるか確認した(申告で鑑定書を使うため連携が重要)重要
鑑定評価書の納期と費用の見積もりを書面で取得した確認推奨
土地家屋調査士の選び方
相続絡みの境界確定・分筆・未登記建物の表題登記の実績を確認した最重要
対象物件の地域での活動実績があるか確認した(地元の境界情報に精通しているか)重要
司法書士との連携体制があるか確認した(表題登記後の相続登記まで一気通貫で対応できるか)重要
境界確定に要する期間の見通しを確認した(隣地交渉が難航すると数ヶ月かかる場合がある)確認推奨
共通 — 避けるべきサイン
費用の説明が曖昧・「やってみないとわからない」とだけ言う専門家でないか確認したNG確認
他の専門家(税理士・司法書士)との連携を一切行わないと言う専門家でないか確認したNG確認
複数の専門家から見積もりを取って比較した(特に測量は費用差が大きい)強く推奨
よくある疑問
不動産業者の「査定」と不動産鑑定士の「鑑定」は何が違いますか?
最大の違いは「法的効力」です。不動産業者の査定は無料ですが私的な見積もりに過ぎず、裁判所・税務署での証拠能力はありません。一方、不動産鑑定士による鑑定評価書は不動産鑑定評価基準に基づく公的な書類で、相続税申告・遺産分割調停・裁判での証拠として認められます。遺産分割で争いがある場合や相続税の路線価否認を狙う場合は必ず鑑定評価書が必要です。
境界が不明なまま相続登記してしまっても大丈夫ですか?
相続登記自体は境界確定なしでも可能です。ただし、境界が不明なまま登記すると①将来売却する際に買主から境界確定を要求される②隣地の建て替え・売却時にトラブルが発生する③相続人が再び増えるとさらに複雑になる、というリスクがあります。相続のタイミングで土地家屋調査士に依頼して境界を確定しておくことを強く推奨します。
未登記の建物があります。相続登記の前に何をすべきですか?
未登記建物は、①土地家屋調査士が「表題登記(建物の形状・床面積・構造を登記)」を行い、②司法書士が「所有権保存登記」を行い、③さらに「相続登記(所有権移転)」を申請する、という順番が必要です。2024年からの相続登記義務化(3年以内)を考慮すると、未登記建物がある場合は早急に土地家屋調査士に相談することをお勧めします。
相続税の申告で「路線価より低い評価」を使うには何が必要ですか?
不動産鑑定士による「不動産鑑定評価書」が必要です。税理士が申告書に鑑定評価書を添付することで、路線価ではなく鑑定評価額を相続税の計算に使えます。ただし税務署が路線価での評価を主張してくる場合もあるため、鑑定の根拠が明確であること・鑑定士と税理士が連携して対応できる体制が重要です。鑑定が有効かどうかの判断は、まず相続専門の税理士に相談してください。
土地家屋調査士と司法書士は何が違いますか?どちらに頼めばいいですか?
土地家屋調査士は「土地・建物の物理的な状況(形状・面積・境界)を登記する」専門家です。司法書士は「所有権・抵当権などの権利関係を登記する」専門家です。相続登記(所有権の移転)は司法書士の業務ですが、未登記建物の表題登記・境界確定・分筆は土地家屋調査士の業務です。実務では両者が連携して対応するため、どちらか一方に「相続登記をお願いしたい」と相談すれば適切な専門家を紹介・連携してもらえます。
「相続する土地の評価・境界に不安がある」
不動産鑑定士・土地家屋調査士への相談が必要か、まず確認できます。
今すぐ相談する ↗

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